アクティブ・ラーニングとは

インタビュアー: 本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。
それでは早速創価大学経営学部で取り組んでいるアクティブ・ラーニングについていろいろお伺いしたいと思います。

■アクティブ・ラーニングとは

インタビュアー: まずアクティブ・ラーニングとは、どのような取り組みなのでしょうか?

栗山先生

栗山先生: アクティブ・ラーニングというと“積極的な学習”という意味がありますが、学生が参加をして、参加型の学習をする取り組みのことを指します。いかに効果的に学習を行っていくかという点に着目し、日本の文科省でも大学教育の中で促進することを提唱しています。

また、予備校の河合塾が大学教育におけるアクティブ・ラーニングの調査を行なったこともあり、社会的にも非常に注目されているものなんです。アクティブ・ラーニングの優れた効果を裏付ける象徴的な研究結果がアメリカで発表されています。

それは、講義の内容がどれだけ記憶に残るかを調査した研究で、その調査結果からこんなことがわかりました。講義を聞くだけだと5%しか記憶に残らないものが、グループ討議で討論すると50%、自ら体験をする体験型になると75%に、さらに他の人に教える体験をすると90%が自分の学んだことが記憶に残るということです。レクチャーを聞くという従来型の大学教育だとたった5%しか残らない、つまりほとんど全て忘れてしまうということです。

それをいかに効果的に乗り越える学習手法を導入するかが現在の大学教育に求められている中で、それに絶大な効果があるとされるアクティブ・ラーニングは、非常に注目されている取り組みというわけですね。

インタビュアー: 学生さんが積極的に、主体的に取り組んでいるというものがアクティブ・ラーニングということですね。

■アクティブ・ラーニングを体験することで得られる効果は?

インタビュアー:アクティブ・ラーニングで実際に体験した場合、どのような効果が得られるのでしょうか?

知識の定着

栗山先生: 一つ目は、「知識の定着」ができることです。何か知識を学んだときには、それ記憶することはもちろんですが、定着させるということが必要ですよね。アクティブ・ラーニングの手法を導入した授業には、今言ったことはこういうことなんだと確認できる場面があります。

二つ目の効果としては、「知識の活用」ができることです。大学卒業後は、学んだ知識を社会で活用しなくてはいけませんが、アクティブ・ラーニングによって知識を活用する場面があるので、その効果が高まります。
この2つが主な効果ですね。

インタビュアー: 知識を定着してしっかり残ったものをさらに応用していくというのが重要なことであり、その取り組みがアクティブ・ラーニングによって自然と行われているということですね。

■アクティブ・ラーニングを取り入れる大学の数について

インタビュアー: アクティブ・ラーニングを取り入れている大学は最近増えてきているんですか?

栗山先生: 文科省や河合塾でアクティブ・ラーニングに関して大々的取り上げたこともあって、取り入れる大学がさらに増えているようですね。

河合塾の調査から見ると、経済、経営だけでも取り入れている大学が全国に何百もあるようで、嬉しいことに、工学、経済、経営の各分野での調査結果からトップ10の中に創価大学の経済学部と経営学部が入っているんです。

全国の大学もこういう調査結果を意識していると思うので、今後もますますアクティブ・ラーニングを取り入れる大学が増えると思います。

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■学生からの反響は?

インタビュアー: 実際にこの取り組みを通じての学生さんからの反響というのはどうですか?

グループワーク

栗山先生: 経営学部はいろんなアクティブ・ラーニングの手法を取り入れているんですが、学生からの授業アンケートで共通して得られる回答があります。

それは授業に対する満足度が非常に高いということと、積極的に自分が学習できたということなんです。
学生が集まって行なうグループワークが多いのですが、クラブだけではなく、講義の場でも友人と一緒に学習できたということで、つながりを感じながら勉強できるということが学生としては嬉しいみたいですね。

インタビュアー: 新鮮味があり、学生さんも楽しめると。

栗山先生: 新鮮味があるのはもちろん、アクティブ・ラーニングの手法を取り入れた90分の講義時間が短いと感じるようですね。教員も学生ももっと時間が欲しいという感じですね。

インタビュアー: 学生さんが満足してさらにもっと学びたいと思える素晴らしい取り組みですね。

栗山先生:他にもアクティブ・ラーニングの手法を取り入れた講義は、満足度が高いのはもちろん、授業外学習時間が飛躍的に伸びたというアンケート結果も出ています。

授業の時間だけじゃなくて、グループワークの中で、自分の課題を見つけて自分で勉強しないといけませんので、授業外の学習時間が飛躍的に上がるんですね。そういう意味で学生の生活をより学べる方向にもっていくという効果が非常に期待できます。

インタビュアー: 予習や復習なんかも自然とついてくるという感じなんですね。

栗山先生: 予習・復習をしなければ次の授業に付いてこれないという感じですからね。

インタビュアー: 自然とレベルも上がっていると。

栗山先生: 上がっていると思いますね。
それを効果として測るというのは、なかなか難しいことではありますが、私の印象としては就職率の高さにつながっている気がしますね。

また、経営学部の一つの目標として「自立的に問題を解決する力」を身に付け、様々な国際ビジネス環境に通用する人材を輩出するという目標があります。単に知識を得られるだけでなくて、(学生の学習に対する)自立的な姿勢が備わってきているということを日々、感じますね。

■創価大学経営学部としてのアクティブ・ラーニングの今後の展望について

インタビュアー: アクティブ・ラーニングの今後の展望はありますか?

海外実習

栗山先生: 経営学部の様々な授業に取り入れていきたいと考えています。
特に経営学部は実際の社会と関わっていくようなテーマが多く、海外実習を行なうグローバルプログラムや企業訪問の授業もあります。そのような授業は、これから発展していくと思いますし、実社会とつながりを持って、そこから学ぶようなカリキュラムを充実していきたいと考えていますね。

インタビュアー: アクティブ・ラーニングはどのような授業にも取り入れることができるんでしょうか?

栗山先生: 不可能ではないと思いますが、様々な課題はあると思います。
例えば、工学部なんかは講義と演習がつながっているので、自然とそういうことが行なわれています。

それに対して、経営学という分野に関しては、基本的にビジネスに直接関わってきますので、現実との相互作用が必要になってきます。例えば、私自身は人のマネージメントが専門なので、人のマネージメントに対する理論がありますが、それを実際に適用できるかという問題があったり、さらにそれを演習という形で企業を訪問して聞いてみる必要があったりするわけです。

理想的にはそれぞれの科目で講義と演習を作っていくカリキュラムができればいいんですが、すべてに取り入れてしまうとどうしてもコマ数が多くなってしまいます。そういう面でも全ての授業に取り入れるというのは、なかなか難しいところではありますね。

インタビュアー: 経営学部で演習というのはイメージになかったので非常におもしろいですね。それに教員の方も今までと違った授業を作らないといけないですよね。

栗山先生: そうですね。今、FD活動の一環として教員自身が手法を学んでいくということを行なっています。
経営学部の教員としての強みは、常に企業の方や実際のデータや資料とつながっており、そのつながりを学生と共にネットワークを広げ、教育と研究に活かしていけるという点にあります。

さらに、様々なネットワークから教員自身が様々学ぶことができるというわけです。それをまた授業にフィードバックしていくことで、学生が常に洗練された授業を受けられるようにしていきたいですね。

■創価大学独自のアクティブ・ラーニングについて

栗山先生

インタビュアー: 創価大学独自の特徴的・特色あるアクティブ・ラーニングというものはあるのでしょうか?

栗山先生: 創価大学の経営学部は、人間主義教育に重きを置いているので、演習が1年次から4年次までずっとあるんです。これは他の大学にはなかなか類を見ないことだと思いますし、創価大学の中でも経営学部が一番進んでいる教育手法なんじゃないかなと思います。

例えば、少人数教育の科目で、経営基礎演習という科目があります。ここでレポートライティング(文章を書く能力)を養成しているんですが、学生がレポートを書いて、それを教員が添削し、学生が書き直して再提出するところまでが一つの過程となっています。

また、グループ演習という科目では、グループでプレゼンテーションを協同で作成します。
河合塾に特に評価されたのはプレゼンをただ作っていくだけでなく、ワークシートを作り、プレゼンを作っていく過程を記録していくという点なんです。そして、それを教員が添削し、評価をしていくというものになっています。

このように創価大学の経営学部が全国に先駆けて、自分で学んだことを記録し、後で振り返って、学びを定着させることを行なっていることが評価されたんです。
さらに2年次後半には専門基礎演習があり、広いテーマで経営について学びます。そして3、4年次には、本ゼミがあります。

このように演習が非常に充実しており、さらにその中にアクティブ・ラーニングの手法を取り入れていることが創価大学経営学部の大きな特徴です。

今後、演習では卒論を義務化し、一人一人がプレゼンテーションやレポートライティングを少人数で主体的に関われるような形を取り入れることを考えています。

インタビュアー: 知識の定着に関して、1つの授業の半期での取り組みかと思いますが4年間での取り組みも考えられますか?

栗山先生: 4年間という形でも考えられますね、1、2年だと経営学の基礎がありますし、教養科目もありますから、アクティブ・ラーニングを活用しながら基本を定着していくことが求められます。

さらにグローバルプログラムというものがあります。
創価大学生はビジネスだけだとモチベーションが下がるので(笑)、そうさせないためにも企業と社会との関係、ビジネスと社会との関係を非常に重視しています。そこで学んだことが3、4年の就職活動に活きてくるということもあります。

やはり企業というのは、世界的に見ても影響力も高いので、社会的な人権の分野や環境の分野などにいかに貢献できるかというのが大テーマになっているんです。世界を視野に入れると、経営学だけではなく、英語も重要視されてきますね。

経営学、英語、両方のモチベーションを上げるためにもそういうテーマについて進んでいる海外に行き、実際に専門家から英語で話を聞いてくるというプログラムを2004年からやっています。

普通の研修だとずっと同じ場所で研修を受けるんですが、学生は、2週間の間、午前と午後でいろんな機関や企業や大学に行ってそこで学ぶプログラムになっています。

当然われわれ教員もこのプログラムを組むために毎日必死でアレンジします。準備の過程にも学生は、関わってきますし、プログラム中はもちろん、帰ってきてから分厚い報告書をまとめたり、そのあと向こうでとってきたビデオをもう一度見て勉強する英語の授業があります。

また、それを利用して教材作成も行っています。全ての過程に積極的に関わることが必要になってきますので、グローバルプログラムは、まさにアクティブ・ラーニング中のアクティブ・ラーニングと言えますね。

このように一貫して経営学と英語の両方を学べる取り組みになっています。単に受動的な学びではなくて、自らが関わることで経営の知識を得ていきます。

■受験生へのメッセージ

インタビュアー: 最後に創価大学を目指している受験生、経営学部を目指している受験生にメッセージをお願いします。

栗山先生: 学生のための大学というテーマの下、アクティブ・ラーニングを行なっていますが、視点としては創価大学の経営学部の独自性である人間主義経営が基盤にあります。その創立の精神を教授と学生が共に探り、また、人間主義経営というものを共に作っていきたい、探求していきたい。

残念なことに今の日本の社会の中では、人間を第一に考えずに自分たちのビジネスを第一にしているという風潮があります。そうではなく、人間を第一に考えるというその発想の転換が今の日本には、必要だと思いますので、創価大学の経営学部としては、そういう視点をもった人材を社会に輩出していきたい。それが創価大学経営学部の独自性だと思います。

同じような経営学部でしたら他の経営学部でも勉強できるかも知れませんが、人間主義の視点を持った経営学を教育しているというのは誇れるものであるし、松下幸之助氏の経営理念など、普遍性を持つ絶対に世界で通用する経営者の理念だと思います。

実は人間主義経営というのは、世界的に今ノーベル賞を取った人たちが求めてる方向性ともいえます。
例えば、ノーベル賞を受賞したユヌスやアマルティア・センらがいるんですが、このグループは人間主義経営ネットワークという学者のネットワークを作っていて、人間主義経営三原則というものを発表しているんです。
第一に人間の尊厳性を絶対的に尊重すること、第二に経営の判断において倫理的判断を絶対的に反映すること、第三にすべてのステークホルダー(利害関係者)に対してダイアローグを展開するというもの。

まさに、創価大学の創立者がおっしゃっていることと同じ原則を持って研究し、さまざまな企業に影響を与えているんです。
そして、創価大学経営学部のグローバルプログラムの一環で、3日間講義を受ける機会があります。

いまや人間主義経営は、創価大学独自のものではなく、日本や世界に広がりつつある最先端の経営学と言えます。未来の経営学部生の皆さんとは是非、共に人間主義経営の先駆者を目指していきたいですね。

インタビュアー: 本日はどうもありがとうございました。